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特別インタビュー

風を起こす学校 【第3回】 授業が変われば学校が変わる (1)

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「風を起こす学校」では、教育現場を、強く、明るくしている学校の姿をお届けします。
他の教育現場でも生かせるような考え方や取組みを発信していきます。


わずか1年でさまざまな変化が起こった京都府向日市立西ノ岡中学校についてご紹介します。

西ノ岡中学校は、教職員・保護者・地域の学校全体が力を合わせて、一丸となって行動することで道を切り拓いてきました。 学校全体で、『子どもたちのために』をつねに念頭に置かれてきたそうです。

この連載では、西ノ岡中学校の代表として盛永校長先生(取材当時)に、具体的な取組内容や取組への視点についてお話を伺います。

――作成された学校経営計画(学校ビジョン)は、どのような特徴がありましたか。

私たちは、厳しい状況を打破し新しい学校づくりを進めていくため、

1. 授業づくりを追究する。
2. 生徒指導・教育相談を充実させる。
3. 学級活動、学校行事や生徒会活動(部活動含む)を充実させる。
4. 地域・保護者との協働による信頼される学校づくりを実践する。
5. 組織力(チーム力)を高める。

という5つの重点目標と、その目標を実現するための取組内容を設定しました。

その中でも特に重視したのは、「よくわかる授業、学ぶことの意味が実感できる授業を追究」でした。

 

――「よくわかる授業」の実現に向けて、具体的にはどんな取組をなされたのでしょうか?

学校状況を分析した結果、自校の優先課題は、授業をわかりやすくすることだと判断しました。つまり、生徒指導上の厳しい現状を、授業改善することで解決していこうと考えたのです。なぜならば、“わかる授業”を実践することは、生徒との信頼関係を高め、問題行動を起こす可能性のあるすべての生徒への予防的援助につながります。

また、文部科学省の『生徒指導提要』にも記載されている 「(1) 児童生徒に自己存在感を与えること (2) 共感的な人間関係を育成すること (3)自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること」 の三つの視点を、授業内で具体化できると思いました。言い換えれば、問題が起きてから対応することに追われるのではなく、毎日の6時間の授業を大切にすることで、未然防止的な生徒指導を行っていこうと考えたのです。

とはいうものの、赴任した前年度は、講師比率が京都府下の中学校で一番高く、若手の教員が多い状況で教員経験が浅い人が多かったです。そこで、京都大学や国立教育政策研究所の研究者の方々に協力していただき、授業力の向上を図る研修の機会を設けて行くことからスタートさせました。

また、全校生徒による授業評価アンケートを実施し、生徒の要望を聞く機会を導入しました。このアンケートについては、次回(第4回)でお話します。

指導方法と指導体制については、少人数学級、数学・英語の少人数指導やティーム・ティーチング(*1)、選択教科を数学・英語で実施するなど、単一の指導パターンではなく、学年の実態に即して柔軟な取組を進めていくような工夫をこらしました。

 

(*1) 授業場面において、2人以上の教職員が連携して、学級の子どもたちの状況に応じてきめ細かい指導の展開をはかる指導形態。

 

 

――学校のホームページを拝見しましたが、確かにたくさんの研究者の方が学校を訪問されていましたねその点についてもう少しお話を聞かせていただけますか?

着任後、本校と大学等の研究者が、共同で授業づくりを核とした学校改善を図る研究体制を作りました。 研究テーマには、京都大学の研究者とは思考力を育成するパフォーマンス評価、国立教育政策研究所の研究者とは学習意欲を高める指導法などがあります。赴任初年度には、延べ11名の研究者の先生方に訪問していただきました。

研究者の先生方には、1校時から6校時まで全ての授業を自由に参観していただいた上で、放課後実施する校内研究会に臨んでもらいました。

先生方には、参観中に撮影した授業風景の写真を使用しながら、発問や指示の在り方、板書やノート指導などの指導技術の基本を含めて実態に即した指導や助言をいただきました。さらに、先生方の中には、手本となるような提案授業を実施してくださるなど、私たちの授業力向上への大きな支援と刺激になりました。

なお、こうした研究者の方々の講演等は、本校の保護者や乙訓地方(2市1町で構成されている地域の26小・中学校の教員)に案内を送付し、自由に参観してもらいました。

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また、赴任2年目から、国立教育政策研究所の「言語力プロジェクト」(*2)の研究協力校として、全教科で、思考力やコミュニケーション能力を高める言語活動の充実を追究し、カリキュラムと学習指導法の研究を推進しています。

ひとつの学校でできることは限られています。このような取組みによって、学校“内”だけではなく、“外”とつながることができ、学校が活性化していくと感じています。

 

(*2) 新しい学習指導要領で求められている、「各教科等において、言語に関する能力を育成し、児童生徒の言語活動を充実する」ために、学習指導要領に基づいて、多様で実行可能な年間指導計画と学習指導法を開発する研究プロジェクト。全国で7小中学校が協力している(実施期間 平成22年4月~24年3月)。

 

 

~第3回目 キーワード ~

・問題が“起きてから”ではなく、起きる前に。毎日の“わかる授業”が予防的援助になる。
・単一の指導パターンではなく、実態に即した柔軟な指導を進める工夫を。
・学校外とのつながりは、学校向上への大きな支援と刺激になる。

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