お子さまの進路設計を考える、すべての保護者のみなさまへ
旺文社

Best wishs for my daughter and son.

interview

先輩たちの物語

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自分の人生の舵を取るのは、いつでも自分だと思う


先輩たちの物語、第3回のゲスト、スリール株式会社 代表取締役の堀江敦子(ほりえあつこ)さんの後編記事です。本気で社会を変えていくために、ビジネス、現場、行政のすべてに関わっているという堀江さんがいま掲げているビジョンは、自分で自分の人生を選択できる人を増やすこと。すべての人が自分らしいワークとライフを実現するために、日々取り組みを続けています。

Profile
堀江 敦子

スリール株式会社 代表取締役社長

堀江 敦子さん

日本女子大学社会福祉学科卒業。大手IT企業勤務を経て、25歳で起業。
両立支援や意識改革を得意とし、企業の研修・コンサルティング、大学・行政向けにライフキャリア教育を実施。
「子育てしながらキャリアアップする人材・組織を育成する」をテーマに、人材育成事業を展開。内閣府 男女共同参画会議専門委員、厚生労働省 イクメンプロジェクト委員、東京都文京区 ぶんきょうハッピーベイビー応援団委員など、複数行政委員を兼任。千葉大学教育学部の非常勤講師も務める。

https://sourire-heart.com/

01
interview

スリールを立ち上げるまで

──就職先はどのように決めたのでしょうか?

堀江さん 大手IT企業のリサーチ部門に就職しました。社会を変えていきたいという思いがブレることはありませんでしたが、そのためには、ビジネスの知見、現場感覚、行政の力のすべてが必要です。大手IT企業に入社した理由は、いまの自分に最も欠けているビジネスについて勉強できると考えたことですね。‘出る杭は打たれない’という感じの社風も、自分のパーソナリティに合っていると思いました。約4年、勤務いたしました。

──起業のきっかけは何ですか?

堀江さん 就職した会社で勤務する中で、育児をしながら働くことが難しいという大きな問題を見つけたことです。社内に保育園のお迎えのため17時に帰るワーキングマザーに話を聞いたことがきっかけでした。もともと営業成績トップの優秀な方でしたが、残業できないということでアシスタントになっていたんですね。わたしも、「まぁ毎日17時に帰宅するとなるとお客様にも影響があるだろうし仕方ないのかな‥」と納得しそうになりました。しかし、「能力自体は変わらないのにアシスタントになるのはおかしいのでは?」と思い、同期50人に声をかけて働き方改革の提案について話してみたんです。すると、みんな賛同はしてくれるものの、とりあえずいまは目の前にある日々を頑張っていくことで精一杯で、なかなか一緒にこの問題を解決しよう!とはならなかったんですね。この時、すぐに当事者になってもおかしくはない問題であるにも関わらず、「自分事」という意識を持っている人がほとんどいないことに愕然としました。当事者であるワーキングマザーは声をあげても聞いてもらえない。それ以外の人は無関心。この構造を変えることが第一歩だと思い、“子育てしながらキャリアアップできる人材・組織を創る会社 ”として、2010年、スリールを立ち上げることになります。

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──スリールについてもう少し詳しく教えてください。

堀江さん 現状のまま出生数が減少すると、40年後の日本の労働生産年齢人口は、現在から半減するという危機的状況を迎えています。女性活躍推進が叫ばれている一方、いまだに約50%の女性が子育てを機に仕事を辞めているというのが現状です。子育て前の働く女性に対して行った調査では、「働き続けたいが仕事と子育ての両立が不安」という回答が約92.7%(*両立不安白書)。不安の理由は、残業しないことでパフォーマンスが落ちないか、周りに迷惑がかからないか、夫の協力は得られるのか、子供を預けるのは可哀想ではないか、そもそも乳幼児と触れ合った経験がなくイメージが湧かない‥など多岐に渡りますが、「どちらも完ぺきにしなきゃ。でもそれって難しそう」と考えてしまう方が多いんですね。その「両立不安」を解消するためのコンサルティングや研修を提供するのがスリールです。大学生から、若手社員、復職者、子育て中の社員、管理職まで細かくターゲットを設定し、体験型のプログラムを用意しています。わたしは人の変化を見ることが大好きなんです。「自分はこれでいいんだ、大丈夫なんだ!」と腑に落ちた方の晴れやかな表情が、何よりの励みにしています。


02
interview

保護者のみなさまへ伝えたいこと

──子どもにはどんな態度で接すればいいと思いますか?

堀江さん 私自身はまだ子を持つ親ではないですが、多くの子ども、大学生と関わる中で感じることをお伝えしたいと思います。お子さんの幸せを誰よりも願っているのは保護者の方だと思っています。その中で子どもの自立を考えた時、「子ども自身の選択を尊重する」関わりをしていただければと思っています。社会がめまぐるしく変化する中で、親が生きる時代と子が生きる時代は全く異なります。子ども自身が多くの大人に出会い、経験するサポートや、不安を取り除くサポートをしていただき、親の意見は1サンプルでしかないと伝えていただければと思います。思っている以上に親が子どもに与える影響は大きいものなので、意識的に「自分自身で決めること」を促すことがこれからの時代を生きぬく大人になる上で重要だと感じます。

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──とても納得します、それでは親の役割は何でしょうか?

堀江さん しつけの中身というのは「①絶対的に人としてしてはいけないこと」と「②親の価値観」の2つに分かれます。この「絶対的に人としてしてはいけないこと」とは、「自分や人を傷つけないこと」。究極的には、これだけ伝えれば良いのだと思います。それ以外はあくまで「親の価値観」であることを理解するのも大切だと思います。例えば小さい頃から英語に慣らしたほうがよいと考える親もいれば、小さい頃は自然の中で走り回る時間が何よりも大切だと考える親もいる。子育てのゴールは自立です。これからの人は、自分で生きる力をつけてもらうために、親以外に頼れる先を子どもにいくつも用意していくことが重要だと思います。あとは親も自分自身の人生を生きること。「あなたのために仕事を辞めたのよ」「あなたのために我慢したのよ」などと言われて、喜ぶ子どもはいないなと、実際に学生に接して思います。親が楽しく過ごしている、自分に笑顔を向けてくれる。子どもにとってそれに勝ることはないんです。たまたま縁があって、いまは家族、親子という関係になっているけれど、親の人生も子どもの人生もそれぞれ自分だけのものだからこそ、個人を尊重する関わりをしていただきたいと思います。

──子どもと親の考えが合わなかった場合はどうすればいいでしょうか?

堀江さん 自分の子どもでも、個性を持った人間なので、合わないこともおおいにありますよね。なかなか難しいとは思いますが、少しでも理解し、寄り添う上で3つほどご提案をさせてください。1つめは、自分の視野を広げることです。教育を専門としている方のセミナーに行ったり、著書を読んだりして、なぜ子どもがそれを選んでいるのかをよく聞き、理解するという態度は大切だと思います。2つめは、子どもを信じて進ませてしまうこと。子どもが主体的に考え、選び、楽しんでいる、充実しているという姿を見せてくれたら、最終的には親としては納得できますよね。3つめに、他の大人と関わり、話しをしてもらうこと。親の意見も、フラットな大人から聞くとストレートに聞き入れられたり、様々な視点ができお子さんの成長につながると思います。ここまでお子さんが成長されたこと、本当に尊敬します。高校生はもう大人の一歩を踏み出している年ごろだと思うので、親御さんだけで抱えこまず、周囲の大人の方と連携しながら成長を見守っていただければ幸いです。

夢を語り合える友達がたくさんいるという堀江敦子さん。自立というのは、何でもひとりでやることではなくて、むしろ頼り合える相手をたくさん持つこと、という言葉が印象的でした。受験生のみならず、保護者も自分自身の人生を考える時代なのかもしれません。

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